世界に誇れる日本の文化!「さいたま市大宮盆栽美術館」

日本の盆栽は、世界でも「Bonsai」として通じるほど、愛好家が増えています。
そんな盆栽について知ることができる「大宮盆栽美術館」に、今回足を運びました。

盆栽村の誕生

JR宇都宮線「土呂駅」東口から歩くこと約5分。閑静な住宅街にたたずむのが、世界で初めてとなる、公立の「盆栽美術館」です。近くには、盆栽園が多く集まる盆栽村があり、地元に住む人だけでなく、県内外、さらには盆栽の文化を知りたいと、国外からの観光客も訪れる場所となっています。

関東大震災を契機に、東京の盆栽業者が、新天地を求めて移り住んだことから、盆栽村の歴史は始まります。

盆栽村に住む条件として、

  1. 盆栽を10鉢以上持つこと
  2. 門戸を開放すること
  3. 他人を見下ろし、日陰をつくるような二階建ては建てないこと
  4. 垣は生け垣とすること

これら4つを掲げることにより、盆栽村の美しい景観が作り上げられ、「都市景観100選」にも選定されるほどになりました。

盆栽についての知識がなくても安心

提供:さいたま市大宮盆栽美術館

盆栽美術館には、盆栽に関する知識がない方でもゆっくり盆栽の魅力を感じられるよう、盆栽の見方、種類、形態など、盆栽に関するいろいろな知識を学べるコレクションギャラリーがあります。初心者の私には、必見でした。

盆栽の顔となる正面だけでなく、裏や下からも観察してみること、根の張り具合、どっしりした幹から最初の枝までの立ち上がりなど、盆栽を楽しめるポイントが丁寧に解説されています。

さらに、失敗が許されない盆栽の剪定、植え替え、枝の形を整えるための針金かけなど、その手入れには高い技術が求められるため、盆栽家がどれほど緊張感を持って盆栽に向き合っているかを垣間見た気がしました。

コレクションギャラリーでは、毎週、展示作品が変更されます。
この日は、盆栽と深く関わりのある水石が展示されていましたよ。
盆栽同様、1つの石から自然の風景を思い起こさせる水石、こちらも奥深く趣がありました。

提供:さいたま市大宮盆栽美術館

格式が異なる3種類の座敷飾りは、それぞれ雰囲気が違い、「なるほど。」と感心しながら鑑賞。立った状態だけでなく、お座敷にいるような少し低い目線でも、楽しんでみてくださいね。

盆栽や水石に対する知識がない私にとっては、どれもとても興味深く、時間を忘れて見入ってしまいました。この屋内のギャラリーに1時間近くいたことに気がつき、自分でもビックリ(笑)。

実際に目にする盆栽は圧巻!

屋内のギャラリーで盆栽についての知識を得たので、実際に盆栽を鑑賞するため、屋外へ。

私が小学生の頃、父が趣味の盆栽を育てていて、その大きさを勝手に想像していたのですが、こちらにある盆栽は、予想を遙かに超える大きさでした。その迫力に圧倒され、しばらく言葉が出なかったほど!

まるで大木を思わせるような幹の力強さ、ゴツゴツした荒々しさ、繊細に枝の広がる様、もう感嘆のため息すら出てきます。鉢の中でもここまで見事に成長するものなのですね。

樹齢も数十年から数百年とさまざま。途方もない年月を生き抜いてきたことに、尊敬の念すら湧き上がってきます。

屋外の盆栽は、五葉松や黒松だけでなく、檜やぶな、もみじ、花梨なども展示されていました。

もみじは、下から見上げると清涼感があり、まるで新緑の森にいるかのような、清々しい風を感じます。この日は35度を超える猛暑日だったのですが、それを忘れさせてくれるかのよう。

ちなみに、今回私が最も印象に残ったのが、こちら。
五葉松の「青龍」という作品です。

幹の一部が年月とともに枯れて白くなり「シャリ」と呼ばれる状態になっています。
まるで、木の神様が宿っているかのよう。

解説を読んで「おぉ~!」と思わず感嘆の声が出ました。
なるほど、「体をくねらせながら水際を走り、首をもたげて昇ろうとしている龍の姿」とは!
盆栽を日々観察し、長い時間と手間をかけて丁寧に向き合うことで、こんなにも壮大な表現ができるのだということを、私はこの日初めて知りました。

屋外の盆栽は、正面からだけでなく、裏や横などいろいろな角度からも鑑賞できるように展示されています。裏から見ると印象が変わるものもあるので、中には「正面でなく裏から見る方が好き」という方もいるかもしれませんね。

子どもたちにもわかりやすく

子どもたちが盆栽について学べるよう、わかりやすく説明しているコーナーもありましたよ。小さな盆栽を買って育ててみるのも楽しそうですね。

今回、盆栽美術館でいろいろ勉強でき、自分でも盆栽を育ててみたくなりました。
お手入れの難しさも体験でき、盆栽の技術の素晴らしさも感じることができそうです。

この日、ゆっくりと盆栽を鑑賞しながら想像を膨らませるのは、とても楽しく充実した時間になりました。自分の感性にたくさんの刺激を与えてもらった気がします。
日本が世界に誇る盆栽の文化、みなさんもぜひ、直に体験してみてくださいね。

さいたま市大宮盆栽美術館
住所:埼玉県さいたま市北区土呂町2-24-3
アクセス:JR宇都宮線「土呂駅」東口より徒歩5分
東武アーバンパークライン「大宮公園駅」徒歩10分
TEL:048-780-2091
開館時間:(3~10月)9:00-16:30 ※入館は16:00まで
(11月~2月)9:00-16:00  ※入館は15:30まで
休館日:木曜日(祝日の場合は開館)、年末年始 ※臨時休館日あり

※新型コロナウイルス感染拡大により、開館時間・休館日が記載と異なる場合がございます。ご来館時は事前にご確認ください。

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。